時雨という名の音色

3/15
前へ
/23ページ
次へ
「俺、さ。」 と時雨は突然真剣な顔をする。 「なに?いきなり、改まって。」 と音色は時雨を覗き込む。 「俺、音色が好きだ。」 音色の中で時が止まる。 幼稚園の頃から隣にいてくれた。 いつも、笑いあってた。 時雨が大好き。大好き。大好き。 「私も、好き。」 音色は時雨の手を握る。 「マジで?」 と時雨は寂しく笑う。 「でもな。俺、引っ越すんだ。」 と時雨は音色の手をしっかり握りながら笑う。 音色は自然に涙を浮かべる。 「アメリカに。」 と時雨は俯きながら言う。 その瞬間、涙が溢れ出す。 「音色。俺は、必ずお前を迎えに行く。こんな、少女漫画みたいなセリフだけど。俺は、必ず迎えにくる。」 と時雨は力強く言う。すると、もっと涙が溢れ出す。 「うっうっ....しーぐれー!」 と音色は時雨に抱きつく。時雨は、音色を優しく包む様に抱きしめてくれる。 「ホント、少女漫画みたいだよ....」 と音色は笑う。すると、時雨も笑う。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加