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一体自分が何をして、何を失敗し、何が母親の逆鱗に触れたのか。
まだ五歳足らずの子供が、母親に「いらない」なんて言われる程、いったいどんな過ちを犯したのか。
5W1Hなんて言われるように、いつ、どこで、何を、誰と、何故、どのように、
そんなこと、いちいち覚えてらんないですよね?
冷静に受け止めたと言っても、幼児です。
理解はしました。でも?
衝撃は勿論受けます。
悲しみだって、当然感じます。
絶望感だって、感じて当たり前ですよ。
当時、幼過ぎてそれらの感情に名称が付けられなかったのが幸いなんでしょう。
涙は流さなかった記憶があります。
ポカンと母親を見上げて、目が合ったその瞬間。
まさに、負の感情。
怒りとか、嫌悪とか、差別とか、諸々の、まるで我が子に向けるモノとは思えない、目の光。
いやだいやだいやだなんて叫んで、逃げ出したくて、どうしていいのかわからなくて、
ただ、ただ、冷静にそれを見て、言葉よりも正確に、明瞭に、それを受け止めた、自分のアタマ。
自分の中に、違う自分が居るみたいな、そんな不明瞭な感覚。
ソレを感じたのは、確かにこの時でした。
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