9339人が本棚に入れています
本棚に追加
「悪い…
責めてるわけじゃなくて。
ただ、聞いてしまったから気になってるんだ。」
斗真さんの言葉に、開きかけた口が閉じた。
聞いた…?
誰に、何を…
一瞬、東條さんの顔がよぎり、隠す前に全てバレているんじゃないかと思った。
「中西さんが教えてくれた。
誰かに、告白されたんだってね?」
美緒…か。
……誰に告白されたのか、言わなきゃダメですよね?
「それも教えてくれないなんて、ちょっとショックだったよ。
言えないのは、言いにくい相手?
つまり、俺の知ってる奴ってコトだよね。
それって、さぁ…」
もう分かってる…と言ってるような表情が見える。
それに、私は黙り込むしかなかった。
…誰かが分かってもいい。
それ以上の何かが、分からなければ…
また、卑怯極まりない思考に染まる私に、
「それ、俺なんですけど、ね。」
あらぬ方向から聞こえた声が、全てをぶち壊した。
最初のコメントを投稿しよう!