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「…えらく、自信がある言い方だな…」
ゆっくりと振り返り、私の肩口を掴んで身体を反転させる。
その早技に身体がついて行かなくて、つんのめりそうになった。
ドン…と背中に斗真さんの胸を感じる。
と同時に、
抱きしめるかのように両の腕が身体を包み込んできた。
斗真さんの腕の中に囲われたまま、東條さんと向かい合う形を作られてしまい、嫌でもその姿が真正面に見えた。
離れてはいるし、暗いからよく見えないはずなのに、ギラついた瞳に一瞬で射抜かれる。
斗真さん…じゃなくて、今度は私に視線を合わせていた。
獲物を捉えた肉食動物のような眼差しに耐えられず、すぐに俯きそれを躱す。
「奪える自信はありますよ。
それは、川崎が一番分かってると思いますけどね…」
「なっ!」
いきなり話しを振られ、完全に逃げ場を失った。
「…どういう、意味…?」
真上で響く、戸惑いを滲ませた掠れた声。
ドキッと心臓が跳ねた。
まるで、そう聞かれるのを待っていたかのように、フッ…と不敵に笑った東條さん。
それを見つけた私は、全身からダラダラとあぶら汗が流れた。
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