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彼女は純白の衣装を身につけている訳でも、羽が生えている訳でもなかった。
その服装はその辺の女子高生のそれと同じようなモノだったし、髪型だって茶髪のポニーテールと普通だった。
俺がこいつを『天使』だと思ったのはただたんに俺が死んでいたからとこいつが神様という器ではなさそうだったからというだけ。
ただ、それだけだ。
「ちょっと、なんとか言えよ」
天使にしては随分と口が悪いな。
「ここは、天国か?地獄か?」
とりあえず質問した。
見たところ真っ白だけど。
天使がいるから天国か?
天使(仮)は馬鹿にしたように鼻で笑った。
「ほんと馬鹿みたい。天国とか地獄とか。お前らの想像でしかないんだよ」
へえ。
そいつは衝撃の事実だ。
まぁ、そんなこったろうと思っていたけど。
「んじゃあここはどこ?」
「さあね。死後の世界とでも言っとこうか?」
天使(仮)はその場でくるっと回ってみせる。
やっぱり羽ついてないなー。
「お前は何ものなの?」
「あ?だれがお前だ。ちゃんと名前で呼べ。目ん玉くり抜くぞ」
「いやだからそれを聞いてんだよ」
天使(仮)は頬を真っ赤にさせる。
「え、あ、ふ、ふっざけんな!そんなの知っとけ!!」
なんとも理不尽な起こり方だ。
「私はメーコ。いわゆる天使だよざまーみやがれ」
悪態つかないと気が済まないのかこいつは。
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