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森を歩きながら、食べられるものを探す海人。
海(食べ物……か。食えるキノコとか分かんないしな)
辺りには木から幾つかのキノコが生えているが、食べられるか分かんないので却下。
海(すると、木の実とか)
海人は木を見上げたが、青々とした葉しか見えない。
海(……まいった。動物の肉を食べるにしても、火がないしな)
「キャァァァァァァ」
はぁ~、とため息をついていると女性の悲鳴が聞こえた。
海(悲鳴!?どこだ?)
悲鳴の出所を探そうとするが、その足が急にピタッと止まる。
海(何やってんだ、俺は?)
今何すべきなのか―?
生きる為に食べ物を探すべきだ―
では、あの悲鳴をどうするべきなのか―?
厄介な事に巻き込まれて、下手に体力は使いたくない。よって――
海(そうだ、無視しろ。それに相手は不明なんだ。勝てるかどうかすら分からん。生きる為にはここは引くべきだ)
海人は足音を立てないようにゆっくりと後ろに下がっていく。
「…だ、誰か、た、助けて……」
海(やっぱ、駄目だ!)
海人は声が聞こえた方へ走った。蚊のなくような声だったが、確かに聞こえた。
海(そうだよ。今助けを求めた子と一緒に人がいる所まで逃げれば良いんだよ。そうと決まれば!)
海人は目の前の草をかき分け、飛び出た。
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