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そこには、白い狼とローブ姿の真っ赤な髪の女の子がいた。女の子は腰を抜かしているのか、へたり込んでいる。
海(狼って逃げ切れんのかよ……。えぇい、女の子は俺に気づいてるし、一か八かだ)
女の子はこちらに気づいたようだが、狼はこちらに背を向けていてまだ気づいてなかった。
海(よしっ!)
海人は決意を固めると狼の横に回り込み、脇を蹴飛ばした。狼はキャィィンと鳴きながら、1m程吹っ飛んだ。
海「立てるか?」
「え、あ、うん」
海人は女の子の手を引いて立たせると、そのまま女の子の手を引きながら前方に駆け出した。
「えっ?あんた逃げるの!?」
海「当たり前だろ。あんた、街とかがある所分かるか?」
「え、えぇ。分かるわ。このまま真っ直ぐ行けば街よ。ねぇ、それより、本当に逃げるの?」
海「しつこいなぁ。逃げるに決まってんだろ」
「な、何で!?あんな雑魚1匹なら倒せば良いじゃん!」
海「さっきやられそうになってた奴が何を偉そうに」
「な!?しょ、しょうがないでしょ!私はもう魔力切れなんだから」
海「はいはい。分かったから逃げるぞ。やばっ、さっきの奴が追ってきた」
後ろを見ると、さっきの狼が追ってきていた。
当然、向こうの方が速い。距離は徐々に詰まっていく。
海「おい、後どれくらいで街に着く?」
「見えたわ。あれ!」
女の子が指を指す方向には壁らしきものがあった。
「あれが街の外壁よ。真っすぐ行けば、門があるわ」
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