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プロローグ
空は黒く蠢いていた。数千、いや数万の機械怪獣共がこの施設に迫っている。
ここは世界でも極東の国、しかもその東側、太平洋そばに位置する科学研究所だ。
厚みのある白いコンクリートで覆われ、周囲に発生させている虹色に光を反射している半円状のバリアは、妖精王の住まう幻想的な城を思わす。
俺達は、それぞれの戦闘機に乗り込むとヘルメットをかぶった。
正面の扉が開き、その向こうに黒ずんだ空が見える。
「いくぞ! みんな!」
「うん、行こう!」
「わたくし一人でも十分なのですけどね」
「参りましょう」
「何とかなりますよね?」
「ぼっこぼこにしてやんよぉ!」
と、返ってきたそれぞれ個性のある返事に笑みを浮かべながら俺は操縦桿を強く握った。
「光子モード。合体するぞ!」
俺の機体は急上昇を始める。
そして、光輝いた俺の周りに、同じように光り輝く彼女の達の機体が集まり逆V字編隊を形成する。
「リニア合体!」
重なった6つの光は大きな輝きとなり、それは人の形をとる。
「ガイグダン!」
光が周囲に飛散すると、そこに巨大な鋼鉄のロボットが現れた。
戦国武者の兜をかぶったような頭部。鉄の塊を思わす胸。
手足は何重にも、何種類もの文化を匂わすプロテクターが取り付けられている。
一撃で地殻すらも破壊するこの巨人は、全高50m、重量950t。
その姿は白、青、赤、黄色、緑と塗り分けられ、存在感は迫り来る機械怪獣を圧倒した。
「宇宙粒子ビーム!」
俺の操作と共に胸部から4つの砲門が飛び出し、わずかにキラキラと光る粒子を吐き出したかと思うと、巨大なビームが発射された。
それは黒い空へ突き刺さると、爆発音を響かせる。すると、そこから青い空がのぞいた。
「雑魚なんてまとめて消しちゃおうよ!」
「いつも考えの浅い楓さんの言う事ですが・・・今日だけは賛成させていただきますわ」
普段ケンカばかりの楓と柊だが、今回は意見の一致を見せた。
「それじゃあ行くぞ! あれだ! 椿! 頼む!」
「お任せください」
椿は困難な操作、ガイグダンを暴走させないように機体を制御する。
いつも微笑みながら当然のようにやってくれるが、彼女にしか出来ない高度な作業なのだ。
「いっけぇ!」
俺は操縦桿を強く前に押す。一度ロックが掛かるが、力任せに限界まで俺は倒した。
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