助けてくれたのは天狗の少女

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どこか懐かしい匂いがする。 そして暖かい。 急に夢の中から目覚めると、ぼやけた視界に見知らぬ天井が入る。 視界がせまく、右目が開いていないことに気づく。 どうやら自分は横になっているようだ。 起きあがろうと体に力を入れた瞬間、激痛が走る。 思い出した。 自分は滑落したんだった。 周りを見ると、自分が和室に寝かされていることが確認できた。 病院ではない。 左腕はしゃもじと包帯で固定されている。 右手は何とか動くが、捻挫をしているようだ。 右脚は感覚がない。しかしきっちり体についていることは確認できた。 左脚は大丈夫なようだ。 頭には包帯が巻かれている。 声が出ない。 何とか声を出そうとしてみたが、喉が痛み、むせた。
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