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むせていたらふすまが開いた。
白い髪の袴を履いた少女がそこにいた。
「大丈夫ですか?」
布団のすぐわきに座り、心配そうに声をかけてくる。
身体を起こしてくれと言いたいが、声が出ない。
動く右手でなんとか起きあがろうとすると、体を起こすのを手伝ってくれた。
ひととおりむせ終わって、呼吸を調える。
そこでやっと少女の姿をまともに見た。
赤と白の袴を着て、足には足袋。どこか凛々しい顔立ち。美人の部類に入るだろうか。
しかし、頭に違和感を感じた。
2つのふさふさとした出っ張りがあるのだ。
疑問に思っていると、外から「ごめんください」という声がした。
少女は立ち上がり、部屋を出て行く。
その後ろ姿を見て、気付いた。
尻尾がある。
じゃああの頭の二つは耳なのか。
にわかに信じられない話だ。
付け耳のようには見えなかった。
尻尾も付けてあるにしては、動きが犬そのものであった。
夢?
そんな風にも思ったが、痛み続ける全身が、その考えを一瞬で吹き飛ばした。
そんなことを考えているうちに、今度は背の高い女の人が部屋に入ってきた。
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