第1戦-1

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「12番の佐藤です、はじめまして」 右隣の男性がズイッとプロフィールカードを差し出してきた。 「は、はじめまして」 慌ててカードを渡そうとして、合わせて持っていたボールペンを落としそうになる。 「ゆ~りさん?」 訝し気な口調に、相手のプロフィールカードを見ると、『佐藤和弘』と本名が書いてある。 ここではハンネではなく本名を書くのが正解だったようだ。 「あ! すいませんっ! 12番の星岡です。」 冷や汗が吹き出てきた。 「35才? お若くみえますね~」  いきなりお世辞を言い出す場慣れた感じが、不安感を煽る。
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