第1戦-1

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「星岡さんみたいな人、タイプなんですよね」 今までは皆、プロフから型通りの質問を軽く投げてくるだけだったが、この望月は、最初から口説きにかかって来た。 見た目の感じなどは100%好みとは言い兼ねたが、離婚してから1年以上浮いた話も無かった恵にとっては、その言葉は心地よく響いた。 わたしもまだまだ捨てたもんじゃないかも。 ここ数年忘れていた女性としての自信が、少しだけ甦って来たような気がする。 「次のアプローチタイムでまた来ますから、覚えておいてくださいね、26番ですからね」 名残惜しそうにそういって、次への席へ移った。 20人目を過ぎた辺りで、頬の辺りが強張って、舌がもつれそうになってくる。 ペットボトルのお茶を持って来ればよかった。 ついでにのど飴も欲しいくらいだ。
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