1714人が本棚に入れています
本棚に追加
/664ページ
手続きを終えて外へ出ると、深呼吸した。
空を見上げると、目にしみるような、澄んだ青空が広がっていた。
いっそ雨なら良いのに。
その透明感が、恵の不幸をあざ笑っているように感じる。
先ほどの職員の同情のこもった眼差しを思い出した。
惨めだった。
悔しさがこみ上げて来て、また涙があふれて来るのを止めれそうにもない。
――負けなくない。
こんな事で負けたくない。
これで終わりたくなんかない。
今度こそ、きっと今度こそ幸せになってやる。
そう誓った。
最初のコメントを投稿しよう!