序章

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手続きを終えて外へ出ると、深呼吸した。 空を見上げると、目にしみるような、澄んだ青空が広がっていた。 いっそ雨なら良いのに。 その透明感が、恵の不幸をあざ笑っているように感じる。 先ほどの職員の同情のこもった眼差しを思い出した。 惨めだった。 悔しさがこみ上げて来て、また涙があふれて来るのを止めれそうにもない。 ――負けなくない。 こんな事で負けたくない。 これで終わりたくなんかない。 今度こそ、きっと今度こそ幸せになってやる。 そう誓った。
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