朧月夜の君

4/6
前へ
/116ページ
次へ
2人の出会いは、宮中で催された桜の宴の夜。弘徽殿女御の妹である朧月夜の君も、宮中に来ておりました。 この時点で朧月夜の君は、当時の東宮に女御として入内する予定で。 まあ、東宮は弘徽殿の女御の息子で、後見しているのは祖父に当たる右大臣。 その姻戚関係を確固たるものにしようとして、末娘の朧月夜の君が東宮の妻になる予定でした。 でも、この朧月夜の君。 なよやかな女性の多かった当時としては、気の強い艶やかな女性。 宴が終わった後に、好き心から後宮の一棟に忍び込ん源氏の君と、朧月の歌を口ずさみながらそぞろ歩く朧月夜の君はばったり出くわします。 ふいに出会った美しい姫を、まんまと手篭めにする源氏の君ですが。 別れの時になっても、姫は名前を明かしません。 普通の姫君なら、源氏の君ほどの男に言い寄られると、簡単になびいて 「必ずまた会いに来て下さいますわよね」 と、なりそうですけど。
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

193人が本棚に入れています
本棚に追加