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この姫は
「本当に私を手に入れたかったら、自分で私の身分を解き明かして探しに来て下さい。
その位の情熱がなきゃ、嫌ですわ!」
と、源氏の君を軽くいなします。
再会の約束の代わりに扇を交換し、2人は一旦ココで別れます。
だって、場所がね。
後宮の一棟と書きましたが、朧月夜の君は弘徽殿女御の妹な訳ですから。
当然、そこは弘徽殿女御の泊まっている棟なんです。
そんな所に忍び込むなんて、源氏の君。大胆すぎます。
そして、源氏の君にとっては兄である東宮に嫁ぐ予定の姫も。
宴の最中に簾中から姿を垣間見て、歌を詠んだ折に聞いた声で、自分を手篭めにした男が源氏の君だと知っていたのに。
深窓の姫君とは思えぬ大胆さ。
しかも、探しに来い、とか。
姫の家は、源氏の君の政敵、右大臣家なのに……。
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