朧月夜の君

3/6

193人が本棚に入れています
本棚に追加
/116ページ
和歌の意味は。 『煌々と照っているわけでも、かといって曇っているわけでもない、朧な光の春の月に、勝るものは無い』 これは、平安前期の歌人、大江千里が詠んだ歌です。 源氏物語の作中では『しくものぞなき』ではなく、『似るものぞなき』と詠まれてますが、これは歌を口ずさんだ朧月夜の君が女性だったため、『しくものぞ…』という男っぽい言い方を読替えたらしいです。 この朧月夜の君は、源氏の君にとっては、政敵の娘です。 彼女は、当時宮中で勢力を誇っていた、右大臣の六の君。 この右大臣こそ、源氏の母・桐壺更衣をいじめていた、弘徽殿女御の父親です。 源氏は、右大臣家と反対勢力の左大臣家の姫を、正妻に娶りました。 そして、臣下に下ったにも関わらず、宮中の人気者であったため、東宮の母・弘徽殿女御にひどく疎まれています。
/116ページ

最初のコメントを投稿しよう!

193人が本棚に入れています
本棚に追加