喧嘩するほど情が深い

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「もう知らない!絶交だからね!」 そんな怒鳴り声とともにドタドタという足音が聞こえた。 人間の声はどうしてあんなに大きいのだろうか。 騒がしい。もっと静かにできないのだろうか。 私は文句を言おうと思い、人間その2の部屋を訪れた。 はて… さっきの声は人間その3のものだったので、いると思っていたのだが…。 部屋には人間その2しかいなかった。 「クロ…。」 人間その2はいつになく静かに私の身体を抱きしめた。 私は文句を言いにきたのだ。話を聞け。 「ひぐっ……えぐっ…。」 聞いてないようだ。 残念無念。 突然、頭上から少量の水が降ってきた。 私は水が大嫌いである。 どこから降ったのか確かめるために見上げると、人間その2はこっちを見て… 「クロ…私を慰めてくれるの…?」 だから、怒っていると言っているだろう。 「ありがとうね…クロ。明日、ちゃんと謝るよ…。」 ……寝よう。 翌日、人間その2は人間その3を連れてきた。 その日はいつも以上に騒がしかった。 ……寝かせてくれ。
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