私は猫である

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「ただいま~。」 外もすっかり暗くなってきた頃、玄関の方から声がした。 人間その4である。 あまり家にいないが、暗くなるとこうして帰ってくる。 「おかえりなさい。」 人間その1が玄関に向かう。 「ん、おかえり~。」 犬を撫でていた人間その2は人間その4に言った。 「ただいま。」 人間その4はそれに応じた。 私は犬を警戒するのに忙しく、一向に気が休まらなかった。 「おい、クロがまた机の上にいるじゃないか。」 「こら!クロちゃん、そこに乗っちゃだめっていつも言ってるでしょ。」 うるさいな。私は命が危ないのだ。文句を言うな。 …そう言ったつもりなのだが、容赦なく追い払われてしまった。 人間はこれだから困る。 おかげで私はまた居間から出ていく羽目になった。
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