腹が減っては寝ることも出来ぬ

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「クロちゃん、ご飯だよ~。」 私はこのひとことを毎日楽しみにしている。 私が人間の家に住んでいる一番の理由はご飯が楽に手には入るからだ。 野生の頃は1日のご飯を確保するだけでも命がけだった。 それが今では人間が出してくれるとは、なんといい身分だろうか。 私はいつものように人間その1の足元にすり寄った。 こうすると少しだけ量を増やしてくれる。単純な生き物だ。 「はいはい、ちょっと待ってね。あら、キャットフードなくなったわね。」 なんだと。せっかく私がすり寄ってあげたというのにご飯がないとはどういうことか。もう舐めてやらんぞ。 「そんなに鳴かないの。しょうがないわね。もったいないけど魚あげるわ。」 これからはいつもの2倍すり寄って舐めてあげよう。やはり人間の家はいいものだ。 私は人間その1が出した魚にすぐさま食らいついた。 美味だ。魚の方がキャットフードより美味い。明日も魚にするのだ。 「ごめんね。明日、キャットフード買ってくるからね~。」 …買い忘れればいいのに。
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