88人が本棚に入れています
本棚に追加
─試合10分前─
ある程度の汗も流して準備満タンの雪羽達は、試合前の準備をする。
雪羽のチームは合わせて7人。
ほぼ現役or元バスケ部でつくられたチームだ。
部活動をしていなかった雪羽も族仲間とストリートバスケをやっていたし、バスケをやっていた先輩に基礎もしっかり教わっていた。
だから今回は、中学の時元ポジションだったポイントガードをする竜眞のサポート役をする。
と言っても、竜眞が囲まれた時に優先的にチームメイクをするだけで、雪羽のポジションは基本フォワード。
つまりフォワード感の強いガード・フォワードを担うことになった。
でも多分、ポイントはそこじゃない。
「えー、ユニフォーム着んの?
だって球技大会だぞ?もう体操着着てんだぞ?」
「体操着は練習用やって。球技大会やろうとなんでやろうと桜宮学園は妥協せんのやろ」
「…雪羽、大丈夫か?これ…周りに合わせたサイズだぞ」
「ほやな、あってもLや。むっちゃ心配ンなってきたわ」
「平気に決まってんだろ!早く貸せよ、ユニフォーム。
着てやろーじゃねーの」
問題解決。
そして雪羽はユニフォームをひっつかむとロッカーの影に隠れて着替え始める。
どんなにお馬鹿でも教室の時と同じ過ちは繰り返さないと意気込む雪羽が、そこにいた。
「…んな、俺等も着替えるかー」
「「そーだな」」
竜眞達も自分の頭の中が雪羽一色にならないようにいそいそと着替えだす。
どんなにエロくても教室の時と同じ過ちは繰り返さないと意気込む男たちが、そこにいた。
「どうや雪羽ちゃん」
「いや…、案外イケるぞ、これ」
「ほんま?んなら見せてー」
「ほらっ」
ロッカーの影からぴょんっと雪羽が飛び出す。
思いっきりウエストの紐を絞っているが、上手くユニフォームを弛ませることで大した違和感はない。
けれど、がっぽりと開いたノースリーブの袖や襟からは、通常以上の肌が露わになっていた。
「如月!やっぱ下になんか着ようぜ!?
せめて、ゼッケン借りるとか!」
「そ、そーだ。流石にそれはやばい!」
「お前これから汗もかくんだぞっ」
もう耐えきれないと口を開いたのは、チームのメンバーだった。
竜眞や新羅も何か言おうとしたが、自分達よりデカい奴らのこの勢いに気圧される。
だが、この珍しい構図もなかなか悪くないと判断した2人は、敢えてもう言わないことにした。
.
最初のコメントを投稿しよう!