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「「お願いします!」」
雪羽のチームは竜眞、雪羽、新羅、花野、濱の5人がスターティングメンバーで始まった。
相手チームはさっきの爽やか君を含めての5人だ。
「ジャンプボール、俺行くぞ」
「頼むで、空牙!」
「任せたっ!」
センターラインを挟んで、相手側の生徒と新羅が向かい合う。
ピーーーッ!!
甲高い笛の音と共に、勢いよくボールが宙に放たれた。
「雪羽っ!!」
「任せろ!」
新羅が後ろへと弾いたボールが、バスケ部でなかった故にマークの甘くなっていた雪羽へと向かう。
雪羽はそれをしっかりと受け止め、身を低くしながら一気に駆け抜けた。
「えっ!?」
「嘘、はやっ…!」
周りが口々にそう言う中、雪羽は相手コートのゴール近くに滑り込んでゆく。
待ち受けていたと言わんばかりにゴールを守るために戻っていた爽やか君が、雪羽のシュートコースを防ぐように飛んだ。
ダンッッ!!
「っ、!!」
雪羽の身体が、体中のバネを使って爽やか君から遠ざかる。
そして雪羽は飛び退いた最も高い地点でシュートを放った。
ボールは雪羽の指先から離れた後、流れるような動きでループを描いてゆく。
そのボールは、ジャンプし終えた爽やか君の手の上を難なく乗り越え、ボードに一度当たってゴールの中に落ちていった。
ボシュッ!!
そんな、布の紐とゴムの擦れる音がする間も、雪羽はリバウンド─つまり自分がシュートを外した際にもう一度ボールを取れるようにゴールの下へと駆け込んでいた。
なんの喧騒も無いまま雪羽のシューズの音だけが鳴り、ゴールを抜けたボールが跳ねる音がそれを追う。
それは、開始僅か4秒の出来事。
一介の高校が行う球技大会では信じられないような光景に、コート内にいた生徒どころか、その一部始終を見ていた、先生を含めての皆が声を出せずにいた。
そんな中、ボールの行方を知った雪羽はそのゴールを見上げながら小さくガッツポーズを決めた。
「よっしゃ」
、
うぉおぉぉっ!!!
雪羽のその言葉に、皆の時が動き出したかのように歓喜と興奮の声をあげる。
チームのみんなが口々に雪羽を褒め、相手チームが初めて雪羽を"同じゲームをするプレイヤー"だと認める。
あの、爽やか君でさえ。
そしてそれに気付いた雪羽も、喧嘩相手に見せる笑みを浮かべて声高に言い放った。
「もう一本!次は本気で言くぞ!!」
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