春風

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2012年4月。私こと、白浜彩葉(シラハマイロハ)は一人神社に来ていた。 この小さな村では御三家の言うことは絶対。 御三家の子どもたちはとても可愛がられていたが、白浜家の一人娘は群を抜いて大切に扱われてきた。 理由は、彩葉が俗に言う《天才》だから。 容姿端麗、成績優秀。彩葉は一度見たものなら絶対に忘れないという能力を持っていた。 そのため、神の生まれ変わりなどと囃され、常に周りには誰かがいる生活。 彩葉はそれをうんざりしていた。 「ここはいつ来ても静か…。私には静まる時がないから天国のようだわ。」 彩葉はボソリと言う。 いつも口うるさいおばさんたちから逃げだしたのだ。 言いたくなるのも無理はない。 (そういえばあの子は大丈夫かしら?) 彩葉はふと思い立ち、神社の境内に入っていった。 木の根元には1匹の小鳥がいた。 羽を怪我して動けないでいるのだ。 彩葉はその小鳥を気にかけ毎日来ていた。
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