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一人でも立ち上がれるんですけど、なんて思いながらも彼の手に手を添えた。
グイッと力強い引きに体がもってかれ、私は立つ。
おぉ……。
ごつい指は太く、私よりも手がでかい。
でもヒールを履いた私と身長は同じくらいか。
私は彼の手を開いて、自分の手のひらを合わせた。
「何?」
「……なんかあんた、ハルオっぽい」
「えっ!?」
似てるわけでもないけど、不思議と懐かしいと感じた。
多分この、ゴツい手だな。
……懐かしい、か。
ここまで我慢してきた何かが、プツンと切れたみたい。
私は泣いた。
化粧崩れなんか知るか。
ハルオに……会いたい。
顔見られたくなくて、目をひんむいたまま上を見た。
涙で空と桃色の桜が目の端に滲む。
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