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「……あーちくしょう!」
「えー。なんでそこでちくしょうなんすか」
「ラムネ飲みたい」
「また唐突な」
私は彼から手のひらを離して歩き出した。
「あのビー玉入ったやつ」
「あー、あれ。俺苦手なんすよね。いっつも炭酸ぶわって……なんすか?」
無意識に私は彼を見つめていたようだ。
まるでハルオみたいな事を言うこの似ても似つかない、ただ手の感じが似ているっていうだけの見知らぬ男を。
「ふふっ。あんたが死んだ時は天葬を思い出すわ」
「えー……」
意味がわからないという風に苦笑いされた。
「俺は梯子のぼりたいんで、いいっす」
歩きながら彼は手をひらひらと振りながらそう言う。
「じゃあ私はその回りを鳥になって飛んでやるわ」
「先に死ぬんすか?」
ちっ。
あげあし取りが上手い男だな。
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