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「……死ぬハルオなんて見たくなかった」
最期まで頑張ったハルオ。
ずっと病院で、わけわかんない管いっぱいつけて。
そればっか、頭ん中に、ある。
ヤバイ。
よく知りもしない人の前で泣きたくない。
私は唇を噛んでグッとそれを堪える。
「俺は全然じいさんの事知らないけど、やっぱ悲しいよ。人が……いなくなるのって」
いなくなる。
彼が選んだその言葉に、私は思わず彼を見た。
「ハルオはさっきまで棺にいたけど、いなかった」
「うん」
棺の中、何も喋らなくなったハルオはハルオじゃなくて、なんか別の……何かに思えて仕方なかった。
花を添える時も、私は何に花を添えているのかわからなかった。
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