9人が本棚に入れています
本棚に追加
「さっきの話」
「ん?」
「天葬」
ああ、と彼は言って私にジッポを貸してくれと手を出した。
ゴツくて、でかい手。
「葬儀を終えた肉体はもうただの抜け殻なんだって」
「抜け殻、か」
彼が吸う煙草の煙が私の顔の前に漂い、視界をぼやけさせる。
「他の命食ってきた人間だから、死後は他の命のために食われましょう……ははっ」
自分で言っておいて笑ってしまった。
これを知った時には関心したのを覚えている。
深く煙草を吸い込み、吐き出した。
「……日本じゃ無理でしょう? 鳥とか」
「そりゃね。日本は火葬が決まりごとだもの」
土地もないし衛生上のなんとかとか、無宗教の人が多いのも理由の一つ。
「私は出来れば天葬したい」
最初のコメントを投稿しよう!