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「っうるっさいなー、いいじゃん別に!」
咳払いをしてなんとか場を誤魔化す。
「いやいや、ごめん。怒った?」
怒った。
っつーか私の顔を見るといいよ。
「ふくれっつらだけどさっきよりいい顔してる」
「……は?」
「葬式の最初っからずーっと眉間に皺入ってましたよ」
今も眉間に皺入ってますけど、と付け加える彼。
「いーんじゃないっすか、天国」
人差し指を上に向けて私の視線をうながす。
くそ眩しい太陽に目がくらんだ。
雲はあまり泳いでなくて、真っ青な空は近いようで遠い。
その時、桜の花びらが鼻の頭に落ちてきた。
近くにある桜の木が風にあおられ、花びらがここまで飛んできたようだ。
それをうっとおしく指でつまみ、払い落とす。
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