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『もしもし。私はメリー、今貴方の後ろに居るの』
幼い少女の声が電子音となって響く。
そして命は儚く刈り取られ、終演を迎えた。
彼女はメリー。
捨てられた人形に怨念が籠り、魂を持った哀しき人形(いのち)。
彼女は意味を無くした憐れな人形。
主を探して数百年。
そんな彼女の元に1本の電話。
宅地の闇夜に公衆電話が不気味にジリジリ鳴り響く。
彼女は躊躇いも無く受話器を取った。
『もしもし。私はメリー、今貴方の後ろに居るの』
彼女は振り返る。
しかし誰も居ない。
彼女の目に影と共にぶら下がった公衆電話の受話器が見えた時、彼女の頭は地面に落ちていた。
「さよなら、時代遅れのメリーさん」
主を探してさ迷い続けたメリーさん、とうとう生まれたばかりのメリーさんに壊されて、報われる事無く散って逝った。
散って逝った。
一説ではメリーさんがこの世に溢れ返り、パワーバランスを崩さない様にするための処置だと考えている。
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