武士と迷い猫

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 『オウ色男、オ前ノコレカァ?』  カタカタ顎を鳴らして、日本人形は左手の小指を立てて見せた。  「あはは。残念だけど違いますよ店長」  「店長!?」  素っ頓狂な声を上げて人形を指差す斑を、沖田と人形が振り返った。  「そう、店長」  『腹話術ヤケドナ~。ドモ、オ嬢ハン』  「は、はぁ…腹話術。にしては動きが本格的な…」  「店長さん人見知りでさー」  「これは人見知り云々の問題なのか?」  それ以前に商人としてどうなんだろうか。  『マ、味ハ心配セントイテ。ホナ』  カックン、と頭を下げ奥に消えていく(こっちを向いたまま)人形を見送って、斑と沖田は漸く昼食に有り付いたのだった…。  「因みに店長さん、男でも女でもイケるらしいよ」  「え゙」
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