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連れて来られたのは、京の町が見はるかせる小高い丘だった。
縦に横に整然と並んだ建物。それらを縫う様に射す、オレンジ色の光。
「う───わぁ…!」
「綺麗でしょ? 僕のお気に入りの場所なんだ」
斑の隣に並んで夕日と町を眺める沖田を振り仰ぐ。
「この場所に人を連れて来たのは、君が最初」
「何故…?」
「うーん…」
困った様な目をしながらも、言葉を探す沖田の顔は楽しそうだ。
「何でだろうね?」
それきり黙って景色を眺めだす沖田に倣い、斑もそれを見つめる。
「───ねぇ、斑ちゃん。
きっと、僕達は似た者同士なんだよ」
しばらくして不意にぽつりと呟かれた言葉に、斑は驚いてまた沖田を見上げた。
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