287人が本棚に入れています
本棚に追加
「似ている? 私と沖田さんが…」
「うん。スッゴく」
「だから」、と沖田が斑の方へ首を巡らせた。
「教えてくれるかな? 異国の着物を着ていた訳」
「───……」
「君をあの甘味屋で見た時、まるで猫みたいだなって思ったんだ」
斑は微かに眉を寄せて、胡乱に反芻した。
「猫?」
「うん。客にも海松ちゃんにも…人の良い笑顔で接してたけど、目の奥には警戒と不安があった」
それらを隠す為に毛を逆立て相手を威嚇する猫に、愛想笑いをする彼女が何故かとても似ていた。
「同時に、何と無く気になったんだ」
心を笑顔の膜でぼかす所が。安心したのだ。
────同類がいた。
「僕だけじゃ無いんだ、って…ね」
最初のコメントを投稿しよう!