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「何故だろうね。君を、知りたいと思うんだ」
「────…」
言葉に窮した。
────嗚呼、その言葉を聞いたのは、一体何時だったか。
『別に意味何て無いさ。ただ知りたい、それだけだ』
「……君も、変わっているな…」
「え、そう?」
「君は、奇想天外な話は好きか?」
「…それが真実ならね」
自分の質問には答えず質問を重ねた斑に、沖田は暫し考えてからそう答えた。すると、それを聞いた斑は目を伏せて口角を持ち上げる。
「君は、あの時の私を見てどう思った? 異人? 珍妙な子? それとも、異国からの密偵?」
瞼を持ち上げる。
「いいえ。どれも違います。私は確かに異国、ロシアから来ました。ですが、“今の”ではありません」
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