一章《死神の通り道》

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「へぇ…とても、素晴らしい国なのね。私たちも見習わない手はなさそう」 ユーリが笑ってそんなことを言う。 まあ、確かにクリードは近隣諸国のお手本になるような、素晴らしい国だけど。 実は、軍部に関してはまだ整っていないのだ。 ファンダリアがアーメクルを統合して国力を増大したからか、この二年で大分兵を増やしたらしいが… 単純計算で、兵力、国力ともに倍に増加したファンダリアに敵うはずがない。 おまけに、クリード皇国の北には騎士国家のジェロン王国がある。 こちらも国力が高く、レヴァンの予想では、近々この二国が争うことになるだろう。 そうなれば、勝つのは間違いなくジェロンだ。 そして勢いをつけたジェロンはゆくゆくはファンダリアを… と予測してしまうのは、ごく自然のことだった。 そこまでユーリに説明すると、彼女は少し、悲しげに頷いた。
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