一章《死神の通り道》

10/10
前へ
/37ページ
次へ
「まぁ、見つからなければ一番なんだけどな…」 辺りをさっきよりも強く警戒しながら、二人は小走りで森を進んでいく。 「だいぶ森を進んだけど、まだ森を出られそうに無いわね」 「休むか…」 ちょうどいい木陰を探し、座り込む二人。 静かな森の中で二人は辺りを見回して、遠くから聞こえてくる音を探り始めた。 「なんだこの音…笛か?」 「笛にしては、濁った音がするわ。…あっちから、聞こえてくる」 ゆっくりと音が鳴る方へ向かう二人。 すると、いきなり甲高い魔物の悲鳴が響いた。 「おいおい、ありゃギリードラゴンの鳴き声だぞ。誰が相手してるか知らねぇが、どうする?」 「…放っておきましょ?ここで消耗したくないし」 「だよな~」 くるりと踵を返して、歩き始める。 遠くでは、何者かによる音により苦悶の声をあげるギリードラゴンが、倒れていた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

158人が本棚に入れています
本棚に追加