僕の関節は逆可動

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俺をぶん殴ったのち、ポケットから棒つきキャンディーをおもむろに取り出し、口にほおばりなから尋ねてきた。 「んで、その大荷物は一体なんだ?」 「そんなのコッチが知りたいぐらいだ……です。 何も知らされずに放課後突然呼び出されて、職員室からわざわざ1人で持ってきたんですから」 「伝票に何て書いあるか見てみろよ」 口の端でキャンディーの棒を器用に動かし、促してくる。 俺は言われた通り、ダンボールに貼り付けられている伝票を確認してみた。 「なになに、『犬・猫用一式』に『特注ビーコン』? 何ですかねコレ?」 「うーん、どうせ皐月が注文した玩具か何かだろう。 適当に端に置いといてくれ」 「あ~い」 深く詮索はせず、生徒会室の隅にダンボールを重ねて置いておくことにした。 ……余談だが、俺がせっせとダンボールを積んでいる間、甘露先輩は手伝うどころか「北斗○掌波!!」と叫びながら殴ったり蹴ったりで邪魔して下さった。 色々と言いたいコトはあったが、とりあえず遊びで俺の半月板を粉々にするのはやめて頂きたい。 「そういえば、今日は会長いないんですか? いつも用が無くても生徒会室に来て遊んでるのに」 俺の疑問に、机に足を乗せ椅子でふんぞり返っていた先輩がダルそうに答える。 「あぁ、皐月なら今日は用があるとか言って帰った。 二宮と話してるの見たから、たぶん晴海祭の準備かなにかじゃないか?」 言い忘れてたが、次の晴海祭は魁斗が考えた企画に決定したのだ。 「晴海祭で思い出したんですけど、先輩はどんな企画案出したんですか?」 「出してない(凛っ!)」 「いやいや、全然胸はって答えるトコじゃないし。 つか(凛っ!)て口で言うなよ」 「細かいコト気にしてるとSTF食らわすぞ」 俺の周りの女子達は、読心術と格闘のスキルはデフォらしい。
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