僕の関節は逆可動

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「今んところ、生徒会役員で5人は埋まってるわけだから、あともう5人探さないといけないってことだよなー。 とりあえず日頃の礼と悪意を込めて、千恵子と真優は巻き込むとして、あと3人か……」 現状を整理し、改めて面倒な仕事を押し付けられてしまったと、激しく後悔する。 俺の心境とは正反対の運動部の快活な声や、楽しそうにお喋りをする女生徒達の笑い声が放課後の校舎に響きわたる。 「ハァ、早く用事済ませて帰ろ……」 水滴をポタポタ垂らす頭を振って雑念を払い、いやいやながらも歩を進めて行く。 一階にある職員室の前を通り、階段を下る。 下った先には、いかにも厳重そうなゲートが一つ。 普通の生徒では緊急時以外通ることはできないのだが、俺は違う。 脇にある端末に、生徒会役員専用の生徒証カードを通すとロックが解除され、自動で開く。 役員には特権として、学校から直接色々な区画への通行許可が出ているのだ。 役員さまさまだぜ。 そんなことより、向かうは地下研究所区画。 俺は馴れた足取りで、学生でごった返す地下街を抜け、目的のラボを目指す。 今までは誰かに追われるようにしか行ったことのない場所だけに、微妙に新鮮な気持ちで歩いて行く。 地下に降りて歩き初めてから約15分、やっと目的のラボが見えてきた。 豆腐のような形をし、ハート型の窓がはめられた、全面ピンク色の建物の前に立つ。 周りの研究施設と比べると、明らかに常軌を逸したたたずまい。 来る者全てを拒むかのように犬型警備ロボットが入り口に陣取っている。 「相変わらず、何度見ても趣味が悪いなおい」
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