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いつまでも冷たい床に慰めてもらうわけにもいかず、何事もなかったかのようにシャキッと立つ。
今越えてきた人垣を利用し、この隙に屋外への脱出を図る。
その逃走経路として、まずは友人である科学者(マッド)のラボに行き、奴の手助けを得るしかない。そのあとのコトは適当でいいや。
考えをまとめ、薄暗い路地裏に飛び込むと、あとからさっきまで俺を追っていた連中が騒がしく横を通過していった。
それを見届け、某有名スニーキングゲームの蛇さんのようにダンボールを被り、ソロリソロリと目的地へと急ぐ。
…………なぜかめちゃくちゃ視線を感じるが、この際、無視の方針で。
途中何度か見つかりかけたが、ダンボールの力か、なんとか切り抜けるコトができた。
5分程歩くと、目的のラボが見え、俺はダッシュで駆け込み、扉を勢い良く開け放つ。
「スマン、ちょっとばかし手を貸してくれ!また追われてるんだ!!」
「何だいそのセリフは、君はB級映画のモブかい? 生憎、ボクの知り合いにダンボールを被った変態野郎なんていないんで、さっさと帰って」
言われて気づき、愛しのダンボールを外す。そして説得を続ける。
「俺だよ、みんな大好き副会長さんだよ!さすがに今回はマジでヤバいんだって~!!」
「……?」
「何で『日本語しゃべれよカス』みたいな顔してるわけ!?」
「正解は『早く帰ってアンパンマン見たいな~』だね」
「ああっ、突っ込んだら負けな気がッ!!」
「とまぁ、冗談は置いといて、逃げ切るのにうってつけのモノがあるよ。 ついて来な」
そう言うと、奴は白衣を翻して部屋の奥に行ってしまった。
足の踏み場のない部屋を、爪先立ちでせっせと後に続き、奴の隣に立つ。
「あれなら楽勝で逃げ切れる」
指差した先にあったものは、
どうみてもスーパーマ○オ64で出てくる大砲です。本当にありがとうございました。
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