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いつもより早く着いた学校には、まだほとんど生徒は来ていなかった。
昇降口もがらんとしていたし、教室まで来てもわたし一人みたい。
ほんとに、誰もいないな…。
「ちょっとあなた。」
「ぎゃっ。」
ふいに、後ろから声をかけられて飛び上がった。
勢いよく振り返る。
「た…高嶺さん。」
そこに居たのは白い肌に長いさらさらの髪がよく似合う、華奢な美少女。
高嶺薫さんだ。
眼鏡の奥で光る鋭い目がちょっと怖くて、わたしは敬遠してるんだけど。
「ごめんなさいね、脅かすつもりはなかったのだけど。」
「あ、いや…てっきり誰もいないとばかり。」
高嶺さんと話すのって初めてかも。
クラス同じなのに。
それにしても、間近で見ると本当に綺麗な子だなあ…。
とか思っていると、ずいと高嶺さんから顔を近付けてきた。
な、なに!?
「…斉藤さん。唐突ではあるんだけど、あなたに協力してほしいことがあるの。」
「え、え!?」
待って、本当に急だよ!!
わたし高嶺さんのことあんまり知らないのに、どうしよう…。
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