プ●●ーグ

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都内から少し外れた所にある、赤い屋根が目印の『成宮』の表札が貼られた、二階建ての一軒家に僕達家族は住んでいる。 家族といっても住んでいるのは、僕と妹と3人合わせて4人だけだ。 両親がいないのには理由がある。 決して立派な理由ではない、海外出張ならどれ程良いものか。 両親は、僕達と莫大な借金を残して夜逃げをしたからだ。 借金は父方の祖父であるおじいちゃん責任を持って全額返済した。 その時に、一緒に僕と妹達も責任を持って面倒を見ると言ってくれたが、僕は断った。 理由は簡単。 祖父である成宮 原動-ナルミヤ ゲンドウ-は、某有名な玩具会社の名誉会長を勤めており資産は数兆円を優に越えるらしい。 これだけを聞けば断わる理由はどこにも無いだろう。 むしろ断る方がおかしい話しだろう。 しかし、あの時は断るしかなかったんだ…恥ずかしながら祖父が名誉会長を勤めている玩具会社は 『子供に大人気!』 ではなく 『孤独に大人気!』 だからだ。 昔、父からその話しを聞いた僕はその事を祖父に指摘した結果。 育ち盛りの妹達の教育上不安だと言う話しになり、祖父と慎重に検討した結論。 妹達と僕は祖父が用意建築した4人で過ごすには何不自由のなく快適な環境で暮らす事になり、祖父のせめてものバカ息子の償いと言う事で教育費その他もろもろも支援してもらう事になった。 あまりに祖父に頼り過ぎと考えた僕は、バイトを継続して少しでも家計の足にする事を決意した。 これで妹達は両親などいなくても、すくすくと清純に育ってくれる!…筈だったのに…。
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