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「チトセ…お前の理論はこうだ。
『スパッツはもともと《衣服》なので《下着》扱いする必要は皆無。故に、スパッツを見せつけても何ら恥ずかしくない。』
そうだな?」
「ははっ!
兄貴、のってきたねー。
そう、ボクの言い分は兄貴の言う通りだよ」
チトセは僕に指をたてて、えらく上機嫌に答えてきた。
部活は大丈夫なのか?…
「なら、僕の言い分だ!
『チトセ、お前は下着をつけていない。
故に、今スパッツの下は…肌そのものだ。
ならば、肌の上に着ている、もしくは穿いている《衣類》を《下着》とする。
すなわち、今お前が僕に見せつけいるのは紛いもない《下着》だぁああ!』」
さぁ、どう返す…チトセよ。
「面白い!
『だが、それは飽くまでボクが《ノーパン》と言う仮定ならの話だ!
だが残念!
ボクはパンツを穿いて《い》る!
故に兄貴は、このスパッツを見るのを恥ずる必要はない!』」
「っな!!?バカな!!
お前は下着を穿いていない!!」
そうだ。
穿いてる筈がない!
事実。洗濯物にチトセの下着は出ていないのだから!
「うーん…
このままじゃ《穿いてる》《穿いていない》の水掛け論だね…
なら。
『兄貴、【シュレディンガーの猫】って知ってる?
━箱の中には猫が《い》る。
だけど、その箱の中の猫が《生きている》か《死んでいる》かは、箱を空けるまで誰にもわからない━最近マンガで読んだんだ』」
本当にコイツはすぐに何にでも影響されるな…。
「あぁ知ってる。
本当の【シュレディンガー猫】とは少し違うが…考え方はおおよそ合ってるしな。
『つまりお前は、(猫箱)を(スパッツ)に、[猫]を[下着]に例えると言いたいんだな?
だが、この場合矛盾が生じるぞ。
何故なら…お前はスパッツを穿く時に見た筈だ!
自分が下着を着衣しているか、いないかを!!
【シュレディンガーの猫】は《誰も知らない》が絶対条件で発動するからな』」
どうやら勝利は見えたな。
チトセがソワソワと焦り始めたぞ。
「あー、それなら。
『ボクは寝ぼけていたから覚えてないや。』」
っな!!?
そんな理不尽な話が通っていいのか?!
それになんだ?!
あのチトセの自慢気な顔は!!
チクショぉおお!!
どうすればいいんだ!
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