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「そんな幸福な時間を過ごしていたわけだが……ギヒッ! お前の人生はもう終わった!」
「…………は?」
声がいきなりわけのわからないことを言った。
俺の人生がもう終わった? は? 意味わかんねぇ。だって俺はこうして生きてるじゃねぇか。
「ここは人間界じゃない。今のお前は魂だけの存在だ。人間界、つまりお前が生きていた世界で、もうお前は存在していない」
「なっ!? ど、どうしてそんなこと―――」
「ギヒッ! 俺がお前をここに連れてきたからだ!」
その声と同時に、目の前に黒い何かが姿を現した。
驚きのあまり叫び声も出ない。漆黒の羽と尾。細い手足。さらに全身が黒に染められたその姿は、よく絵本やアニメに描かれるその姿に酷似していた。
「あ……悪魔……」
「ギヒッ! そうだ、俺は悪魔だ。俺がお前の人生を終わらせたんだ!」
不気味に高笑いをする目の前の悪魔に、俺は何をすることもできなかった。
非現実の存在。空想上の産物。悪魔や天使なんてアニメやゲームの中の存在だと思っていた。
それが今、目の前に実在している。これ以上の混乱があるだろうか。
「さて、お前の人生は終わったわけだが、俺はそのためだけにお前をここに呼んだわけじゃない。ここで1つゲームに付き合ってくれないか?」
ぐるぐると思考が回る俺を構うことなく悪魔は話を続けた。
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