日本で平日で突然で

3/5
前へ
/30ページ
次へ
      「そんな幸福な時間を過ごしていたわけだが……ギヒッ! お前の人生はもう終わった!」 「…………は?」 声がいきなりわけのわからないことを言った。 俺の人生がもう終わった? は? 意味わかんねぇ。だって俺はこうして生きてるじゃねぇか。 「ここは人間界じゃない。今のお前は魂だけの存在だ。人間界、つまりお前が生きていた世界で、もうお前は存在していない」 「なっ!? ど、どうしてそんなこと―――」 「ギヒッ! 俺がお前をここに連れてきたからだ!」 その声と同時に、目の前に黒い何かが姿を現した。 驚きのあまり叫び声も出ない。漆黒の羽と尾。細い手足。さらに全身が黒に染められたその姿は、よく絵本やアニメに描かれるその姿に酷似していた。 「あ……悪魔……」 「ギヒッ! そうだ、俺は悪魔だ。俺がお前の人生を終わらせたんだ!」 不気味に高笑いをする目の前の悪魔に、俺は何をすることもできなかった。 非現実の存在。空想上の産物。悪魔や天使なんてアニメやゲームの中の存在だと思っていた。 それが今、目の前に実在している。これ以上の混乱があるだろうか。 「さて、お前の人生は終わったわけだが、俺はそのためだけにお前をここに呼んだわけじゃない。ここで1つゲームに付き合ってくれないか?」 ぐるぐると思考が回る俺を構うことなく悪魔は話を続けた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加