2人が本棚に入れています
本棚に追加
「ミラン・マグナル中佐、遅くなりました」
ブリーフィングルームには15名程の佐官が丸いテーブルを囲んで座っていた。
「非番だったそうだな、だが勘弁してもらうぞ。非常事態だ」
ガディオン・ソドム大佐が蓄えた髭を触りながらそう言った。
「えぇ、わかっております。それで?」
マルキン少佐が持っていたペンでテーブルを二度程叩く。
彼の癖なのだ。
「上層部の方でも、このタイミングだろうとの判断です」
やはりな…ここで攻めなければ、戦いは長引くだけ…。
連邦軍も我がジオンも疲弊し切っている…。
「徹底抗戦の構えを取るしかないな」
ガディオン大佐の体重で乾いた音を立てて軋む椅子。
「総力戦になりますね…キシリア少将のキマイラ隊も戦闘準備に入ります」
再び聞こえるペンの叩く音。
「キマイラ隊…!ライデンの所のエリート部隊か!」
脳裏に浮かぶ紅く染まったMS。
キマイラ隊のジョニー・ライデンと言えば、知らぬ者はいない程のエリートパイロットだ。
「カスペン大佐の第603技術試験隊…いえ、戦闘大隊も新型MAの調整が済み次第配備されるとの事です」
「ビグロの改修機…だったな。カスペンの部隊か…603の連中も、厄介な人間を当てられたものだ」
ガディオン大佐が目を閉じ、溜め息を吐いた。
最初のコメントを投稿しよう!