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「見える景色がいつもと違うから、新鮮っていうか……運転してる後姿って、いいよね。この車、マニュアルだし」 「それはお前の趣味だろ……」 さっきの制服話ではないが、趣味趣向の部分で下手すると話し相手に引かれる可能性もある。 別に俺はどうも思わないが。 「バックの時に助手席に手を掛けるのは嫌かも。拓はやんないけどさ」 「俺、ミラーバック派だから」 たまに目視もするが、助手席に手は掛けない。 「うん。あれはやらなくて良いと思う」 思いの外、力強い口調で帰ってきた返答に、過去の何かが透けて見えるような気がしたが、そこは深追いしないでおこうと思う。 過去の他の男の話を聞く趣味は無い。 他の要因ならばまだ良いが、”ハズレ”が出てきてしまった時のリアクションに困る。 「ま、たまに後部座先のドアも開け閉めしとかないと、ゴムが劣化して開かなくなるって話も聞くし、気が向いたら乗れば?」 「んー……助手席から見る景色のほうが好き」  シートベルトをめいっぱい伸ばして、センターコンソールから身を乗り出すようにして、運転席の背もたれに顎を乗っけて顔を近づける。
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