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っつーか、それは宮村自身の不満では無いのだろうか。
そこが新たに心配になってしまう。
「なかなか時間無いよね。その為に睡眠時間は削りたくないし、でもRPGとかやり始めると続きがきになっちゃうし」
「……残念な大人」
内容の割に真剣な語り口に、込み上げてくる笑いを抑えながら。
「拓に言われたくないよ。やりこみ系のは、あんまりやらないようにしてるし」
「そんなに不貞腐れるなって。久々に、甘い物でも食いに行くか?」
バックミラー越しに、口を尖らせ軽く頬を膨らませる顔を見ながら。
今日だけでこの顔をさせたのは2度目か。
普通にしているよりも笑っているか、今のような表情が好きだったりもする。
だからといって、苛めたい訳ではないしそんな趣味もない。
「拓の奢りね。でも、夕御飯でもいい気がするんだけど……」
「――そうだな。じゃ、テイクアウトで」
車を走らせ、嵐沢の駅前に着く頃には雪は先ほどよりも小降りになり、一面の銀世界は街灯に照らされてきらきらと輝いていた。
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