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家に帰ってからまた出るのも面倒なので駅前に車を止め、目当ての店へ。 カフェスペースから見える中庭にも雪が降り積もっていて、店内との温度差で曇るガラスが余計に幻想的に見せている。 「いらっしゃいませ。お持ち帰りですか?」 「はい。……と、何にする?」  好物を目の前に、口元を緩ませながら上目づかいでこちらを見る。 ……可愛いじゃねーか。 ここに来たのが久しぶりということもあるのか、いつもより余計に眼が輝いているようにも見える。 「好きなもん頼めば――」 「2つ頼んでいい?」 言葉を遮るように、しかし小声で。  そういえば、夏に宮村が手土産で此処のを買ってきた時、2人分で4つ買ってきたっけ。 付き合い出してから年相応よりも若く、というよりも若干幼くも見える時が多くなった気もする。 決まって好物を目の前にしたときだったりと、まぁ分かり易くて良い。 「どうぞ。ただ同じ種類じゃなくて、違う種類にしておけよ」 「分かってるって――」  そう言って、続けて注文をする。 今日は豆乳プリンと、新製品らしい抹茶風味のフォンダンショコラ。
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