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言葉に詰まり、答えずにいると続けて声を掛けてくる。
「そんな風に見られるの、嫌だった?」
先ほどまでとは打って変わり、その表情には不安が入り混じる。
「いや。ただ単純に、驚いただけ」
「私はちょっと嬉しかった、かな?」
「――やっぱり、そこまで若く無いって事か」
素直な感想。
さっきまで考えていた事だとしても、他人から形を変えてでも言われると、改めて感じるものがあるというか。
「そんなの、分かり切った事でしょ」
否定するでもなく、気持ちいい程に言い切った。
俺よりも宮村のほうが、ずっと現実を見ているのかも知れない。
自分の中の女々しい部分を痛感していると、宮村が袋の中から貰ったチョコレートを差し出す。
「これ、食べてみる?」
「自分が食べたいから出したんだろうが……」
「見てるうちに、甘いの食べたくなっちゃって。貰ったし、折角だから」
和紙に包まれたそれを1つ、俺の冷えた手に乗せた。
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