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開けてみるとトリュフチョコレートの様な……そんな感じ。
口に含むと、チョコレートの甘さと一緒に抹茶のほろ苦さが広がり、溶けていく。
「――美味しい」
宮村も気に入ったらしく、ちょっとだけ満たされた表情を浮かべる。
停めてあった車に戻り、助手席に乗った宮村の顔を見ると、口元には抹茶色の粉が付いていた。
エンジンをかけ、エアコンの吹き出し口から風が出ると、窓が一斉に曇る。
「ほら、ここ。また付けて――」
親指で軽く拭う。
それでは取り切れずに顔を近付け、まだ仄かに抹茶色に染まる口元に自分の口元を近づけた。
「――っ!」
「大丈夫。ここ、一番奥で死角になってるし、今なら窓曇ってるから外からは見えない」
有無を言わさぬよう、耳元で囁き、唇を奪う。
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