26人が本棚に入れています
本棚に追加
/64ページ
prologue2
――まって。
少年は息を切らしながら追いかけていた。
前方を歩いている【彼ら】に向かって声を張り上げるが、【彼ら】が立ち止ることはなかった。
少年は手を伸ばすも【彼ら】に届くことはない。
――お願い、まって。
いくら追いかけても、手が届くどころか距離が縮まる事はない。
それどころかどんどん距離を離されている気もする。
――僕を、おいていかないで。
どうしてこちらを振り向いてくれないのだろう。
どうして待ってはくれないのだろう。
――父さん! 母さん!
良い子にしているから。お行儀もよくしてる。
頑張るから。我慢できるから。泣かないから。
ワガママだって言わないから。だから、だから――!
――――……ちゃ…・・ん。
――待って――
―――― お兄ちゃん ――――
最初のコメントを投稿しよう!