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無駄ヅモーを睨み付け、ケロリンは口の中に溜まった血を吐き捨てる。
「威勢だけはいいなヅモ! そんな威勢も何処まで続くか楽しみヅモ」
無駄ヅモーは、ケロリンの頭を摘み、少しずつ力を加えていく。
「い、痛い痛い!」
痛みにもがくケロリンを、無駄ヅモーは舐め回すように鑑賞する。
――――そのときだった。
ケロリンの携帯に着信が入ったのである。
「ちょっとタイム! タイムよ! 電話だから降ろしてー!」
ケロリンは両手でT字を作り、一時休戦を要求した。
「今いいところだったのにヅモ。……電話なら仕方ない、なるべく早く済ますヅモ」
無駄ヅモーはケロリンの要求を応え、彼女を解放する。
そして、解放された彼女は、すぐさま携帯を取り出し、電話に出た。
「もしもし……って、ちょっとぉ、アナタ盗み聞きするつもり? ちょっとは気を遣って離れてよ」
「それは悪かったヅモ」
怪人無駄ヅモーは、頭をポリポリと掻き、小走りでケロリンと距離を取った。
「もしもし、博士?」
電話の相手は、コスチュームの開発や、金属バットを用意してくれた天才発明家、アマトノ博士であった。
『おおう、ケロリンよ。苦戦してると思ってな、新しい武器を開発したんじゃよ』
「どんな武器なの?」
『エムピーを大きく消費してしまうが、超強力なビームを撃てるすんばらしい武器じゃ! 名付けてケロケロバズーカじゃ!! さぁ、早く携帯を操作して転送させるんじゃ!』
「分かったわ! 博士!」
『グッドラックじゃあ!!』
電話を切り、ケロリンはすぐさま武器を転送した。
博士の話ではバズーカのはずなのだが、それは何処からどうみても先端にデフォルメされたカエルの頭が付いたステッキであった。
「これが……ケロケロバズーカ?」
あの博士、後でしばき倒してやる!!
……と、ケロリンは心の中で叫び、ケロケロバズーカと一緒に転送されてきた取扱い説明書に目を通した。
「電話終わったヅモー?」
痺れを切らした無駄ヅモーが、ゆっくりと近付いてくる。
右手に金属バット、左手にケロケロバズーカを握り、ケロリンは迎撃態勢を取る。
「仕方ない……一か八かやるしかないわね……」
ケロリンは自身の言葉に頷き、無駄ヅモーに金属バットの先端を向ける。
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