1人が本棚に入れています
本棚に追加
朝の朝礼が終わった後、高等部の廊下を不機嫌オーラを漂わせている不機嫌顏の少年がいた。
黒い前髪の長い髪に、翡翠の瞳。前髪が長いためか、前髪を上げて赤のヘアピンを二本で留めている。不機嫌顏は生まれつきのもので本人も気に入っていない。
この少年の名は『桐崎尚弥』(きりさきなおや)。
不機嫌オーラを出し、だるそうに制服を着崩すその姿は不良に見えなくもない。
そんな彼の耳に生徒たちの話し声が聞こえてきた。
「ねぇねぇ聞いた?二組に新しい転校生が来たんだって~」
「へぇ~その転校生って女子なんでしょ?けっこう可愛いらしいって」
「マジで!?後で見に行ってみようぜ」
話を聞いた尚弥はふと思っていた。
(……転校生?こんな時期にか?)
尚弥自身は一組であるので関係ないので特に気にせず歩いていく。
階段を登り、一番上、屋上の扉を開けた。
フェンスへ近づき、そこから景色を眺める。
空は青く澄んでいて、鳥が数羽飛んでいるのが見える。その下の東京の街は数多い自動車、行き交う人々も一望出来る。
尚弥にとってこの場所は心のオシアスである。
だが、この景色を台無しにするような声が聞こえた。
「ムフフフフ、ムフッ、ムフフフフフッ!」
このいやらしい声を聞いた尚弥は一息溜め息をつくと、
「朝っぱらから何読んでんだよ?お前は?」
最初のコメントを投稿しよう!